地蔵盆と精霊送り
地蔵盆は、八月二十三日、二十四日に地区内に祀られている
お地蔵さん毎に子供を中心に行われている。
若狭においては広く各地で行われているが、
特に西津の小松原地区では、お盆が終わった頃になると、
子供達は各地区の石の地蔵さんを近くの海へ運んで洗う。
乾いたら絵の具で化粧直しをし、地区毎に組まれたお堂の祭壇にお祀りする。
建てられたお堂の入り口に笹竹を立て、堂内の周囲には
五色幡(上から青・黄・赤・白・紺色)を掲げ地蔵盆の準備をする。
二十三日にはお堂の中で子供達は
「南無地蔵、参いてんか。参らんと通さんで。」と囃して
太鼓や鉦を打ち鳴らし声を張り上げる。
夜になると念仏講の女性達が出席して念仏を唱え、
翌二十四日の朝にはお供物を各家に配り、
お堂が解体され、地蔵さんは元の祠に飾られて、
地蔵盆の行事が終了となる。
西津地区に隣接する甲ヶ崎地区では、
地蔵盆は行われず、盆の行事として「精霊船送り」が行われている。
竹の竜骨に麦藁で長さ約四m、幅二m程の精霊船を作り、
八月十五日夕方青竹の帆柱に「御曼荼羅」が書かれた帆が掲げられ、
区民に担がれた精霊船に施餓鬼幡や経木塔婆やお供え物を積み込み、
大人が担いだ精霊船を中心に子供達一同も声を揃えて
「なーがれ、なーがれおっしゃいの」と歌いながら海岸まで練り歩き、
海岸では送り火の中、女性達の団扇太鼓に合わせてお経が唱えられ、
精霊船は沖の方へと送られて、お盆行事が終了する。
円明寺住職 笹川真照