三方石観音の鶏の石像
千二百年の時空を経て
今年の干支は酉(鶏)。
酉は古代中国では、収穫した作物から酒を醸す
口の細い器(象形文字)のことで、酒の元の字。
成熟した状態のことを意味します。
また、酉は明け方に鳴き、新年も一番に鳴くため縁起が良いとされています。
弘法大師一夜の作で有名な三方の石観世音菩薩は、
右手先がない片手観音ですが、
これは、大師が制作中に夜明けを知らせる鶏の鳴き声が聞こえたので、
作業を止め下山されたためです。
手足の不自由な人をはじめ諸病に霊験あらたかと、
全国から参詣者が絶えません。
その夜明けを告げたと伝わる鶏の石像が、
本殿前の苔むした岩(妙法石)の上に鎮座しています。
昨年は色々と暗い話題が多かった年でしたが、
千二百年の時空を経て、
新しい年の希望に満ちた夜明けの第一声、
「初鶏」を皆さんは聴かれたでしょうか。
小浜市郷土研究会 網本恒治郎
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