佐久間記念交流会館にある
東郷平八郎書の碑
佐久間艇長 最後の一筆
花の季節を迎え、新学期が始まると佐久間艇長の故郷、
若狭町(三方地域)の子供たちの歌声が野や里からよく聞こえてきた。
「花は散りても香を残し 人は死しても名を残す」
で始まる佐久間艇長頌歌(ほめたたえる歌)である。
毎年四月十五日に行われる佐久間艇長遺徳顕彰式典において、
海上自衛隊舞鶴音楽隊の演奏に合わせて参列者全員が斉唱する歌でもある。
このとき歌われるのはたいてい三・四番までだが、七番では次のように歌われる。
艇長遺書して我が部下の
遺族に雨露の君恩を
乞い奉りし一筆に
感泣せざる人やある
この一筆こそ恩師・成田鋼太郎先生をして、
「その最後立派なりしに泣けるなり」と言わしめ、
夏目漱石や与謝野晶子をも感動させた『公遺言』である。
あらためて原文を引用する。
謹ンデ陛下ニ白ス
我部下ノ遺族ヲシテ
窮スルモノ無カラシメ給ハラン事ヲ
我ガ念頭ニ懸ルモノ之アルノミ(後略)
地元の子供たちからご高齢の方まで、
またご遺族や外国の海軍武官も毎年ご列席される
四月十五日の艇長遺徳顕彰式典に
一人でも多くの方がご参列くださるようお願い申し上げます。
佐久間艇長伝記編集委員会 河合岩暢