手にとって石を見た小浜城石垣見学会
過日、若狭小浜城石垣見学会が、現存城跡を境内とする小浜神社の主催で行われた。講師は京極家とゆかりの深い丸亀市から学芸員の東信男氏である。
小浜城は京極高次とお初によって、従来の後瀬山から海辺の現在地に移された。現存する城址は全国的に数少ない「水城」といわれ、海に浮かぶような天守閣を仰ぐことが出来た優美な景観のお城であったという。
東学芸員は石垣の外周をくまなく廻って、参加者に京極家、酒井家と渡って積まれた石垣の特徴を解説された。当時の城石垣積みの技術を駆使した石の種類・積み方・石の産地・重ね方などから時代を推定される。
各地から集められたであろう石の中で「隅角」の大きい花崗岩は、古記録に伝える蘇洞門から浦々の舟を使って運ばれたものであろう。近くで見る石の迫力に驚いた。いずれも若狭の領民の血と汗の結晶である。遠くから一瞥するだけでなく、手にとって見てはじめて若狭における近世唯一の巨大な歴史遺産であることを確信させられる。
今日まで長くお城(石垣)の保存にあたられた小浜神社や地元関係者に感謝したい。今後もこの種の会をもっていただき、若狭の宝小浜城址への関心を深め、何時の日にか天守閣の復元が実現することを願うものである。
(元若狭歴史民俗資料館館長 中島 辰男)
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