海沿いの公園
あらこんなに良い処がと散策をしていると新しい発見がある。
食文化館を左に海岸道路を行くと公園に突き当たる。岸壁側の道に沿って、車輪梅
とトベラの植え込みが長く続き、光沢のある葉が陽の光を跳ね返している。初めてき
た四月初旬には桜並木が目を楽しませてくれた。今はドウダンツツジが、スズラン状
の花をびっしり付け、柔らかな細い葉が遠慮がちに花の間から顔を覗かせている。八
重桜・夾竹桃・玉柘植等多種類の樹木が植え込まれている。ベンチの配置も良く考え
られていて嬉しい。
細長い公園の真ん中近くに、自然石の巨大な鳥獣供養塔がある。そこを通り過ぎ塩
釜のほうに歩を運ぶと、長谷光城先生の「波一円を描く」と記した銘板のある堂々た
る御影石のアートがある。それを見ると蘇洞門に寄せる荒波の力強い風景が鮮明に蘇
ってくる。
たまに犬を連れた人に出会うが、人影の少ない静かな公園である。対岸の後瀬山と
ホテル街の眺望も美しい。夕日を受けてきらきら光る海を見ながら、時の経つのを忘
れる私の好きな公園である。
若狭読書会会員 白石惠子