庚申信仰と秦氏(こうしんしんこうとはたうじ)
重要伝統的建造物群として人気の高い小浜西組三丁町の町屋の軒下に、
赤い布で作られた物が吊されています。
これは、「身代わり猿」と云われ、庚申信仰と深い係わりがあります。
庚申の日(六十日・六十年ごとに巡ってくる)には、
人間の身体にいる三尸の虫が這い出し、
その人の罪を天帝に密告します。
飛鳥時代に中国から伝わった道教の思想に由来し、
御本尊の青面金剛は秦河勝(聖徳太子に仕えた)が
秦氏の守り本尊として招来したと伝わります。
猿(申)は御本尊の遣いで、
これを型どったお守りが「魔除け」とされ、
災いを身代わりに受け止めてくれると信じられています。
日本三大庚申の一つで、
庚申信仰を最初に始めた京都八坂庚申堂の境内には、
「くくり猿」と呼ばれ手足を括られた猿が、
欲に走る人間の心を戒めるアイテムとなっています。
秦河勝のルーツは秦始皇帝に繋がるとも云われ、
秦氏の族長的な人物とされています。
小浜にも秦という氏があり、
河勝の系譜に属するのかどうか古のロマンとして、
興味が尽きません。
若狭の語り部会長 網本恒治郎