峠の石仏を訪ねる
かつて、池河内と若狭町日笠をつなぐ
「日笠越」とよばれた峠道がありました。
戦前の地図には点線で道が描かれています。
明治以降に県道小浜朽木高島線が整備されるまでは、
丹後街道に出る最も近道でした。
池河内の人が日笠山と呼ぶ、
標高三百メートルほどの山の尾根に
五十センチほどの小さな石仏がまつられています。
池河内の人が建立したことは間違いないようですが、
だれが、いつ建てたのか定かではありません。
峠越えの道を通れば、池河内と日笠は一時間ほどです。
昔から交流が深かったと思われます。
池河内のお寺は日笠のお寺の末寺であり、
神社も日笠から分霊されたもので、神社名も同じです。
人が通わなくなって半世紀、道は所々消えています。
小さな仏様は風雪にさらされ、
お顔がぼんやり浮かぶほど風化しています。
いつか人が通ってくれるのを待っているようでした。
松永いきいきふるさと塾会長 川畑哲夫
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