般若心経と私
色不異空 空不異色 色即是空 空即是色
【色は空に異ならず、空は色に異ならず、
色は即ちこれ空、空は即ちこれ色】
色は「形ある物」と一般に説明されていますが、私は色を「我」と受け止めます。
お釈迦様は難行苦行を通して三十五歳の十二月八日の明け方に悟りを開きましたが、
その時の呟きが「此の世の一切のものは捧げ合い、
助け合いしている一切であった」という驚きだったのです。
坐禅会に参加した折、私は次の様に老師に質問したことがあります。
「ここの道場はその佇まい、修行者の姿、質素な食事、
この独参の場の雰囲気、そのどれもが爽やかに感じられます。
これはどこから来ているのでしょか」と。
そうすると老師はお答になられました。
「もしここに、あなたの言うような爽やかさがあるとするならば、
それは 『物をもたない』ということでしょうか」と。
「物を持たない」とは無我の実行でありましょう。
それを別の言葉で「空」と表現しているのです。
地久山 圓照寺 村上宗博