円相の話
円相で真理を表現することは、中国唐代の南陽慧忠(なんようえちゅう ?~七七五年)
国師に始まるとされる。
三世十方世界に満ちている、真如、実相、仏性、法性、などと呼ばれる絶対の真理を、一つ
の円で表現したものが、円相(えんそう)とか一円相(いちえんそう)と呼ばれるものである。
信心銘に「円かなること太虚に同じ、欠くることなく余ることなし」とある一切皆空の真理
を、一つの象徴でもってあらわしたもの、色や形のないものを目に見える形にしたもの、そ
の代表が円相なのである。
禅僧が指し示すものは悟りの境地以外にはない。だから禅僧が円相を描くのは、言葉や形
にできない悟りの境地をあらわし伝えるためであり、塔婆のいちばん上に描いたり、葬儀の
引導のとき空中に描いたりするのもそのためである。
瑞雲院 杉本玄海
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